Message
わたしの看護
患者さんの思いを伝える。
そのお手伝いをしたくて、看護師の道へ。
高井 真美子 ICU/2014年入職
自分の思いを、自分の口と言葉を使って伝えられない患者さんの力になりたい。そんな思いで選んだのが、看護師という仕事です。きっかけは、脳腫瘍の後遺症で自分の思いを上手く言葉にできないまま最期を迎えた祖母を看取ったことでした。自分の人生の終わりに思いを伝えられないのは、とても悲しいことだと思います。そして、それを聞くことができない家族もやっぱり辛い。だからこそ私がその間に立ち、少しでも心の内を届けるお手伝いができたら……。いつもそんなふうに考えながら、病棟に立っています。
言葉によるコミュニケーションが
難しい現場で感じるジレンマ。
ICUに入院する患者さんは身体の苦痛が特に強い、ストレスフルな状態の中を戦っていらっしゃいます。そして、その患者さんの多くが人工呼吸器管理下にあり、看護師は患者さんの言葉による訴えをほとんど聞くことができません。患者さんの思いを伝えたい、そんな気持ちで看護師になった私にとってはジレンマを感じる場面ばかり。「もっと患者さんの心を理解できたらいいのに」と、いつも自分の不甲斐なさに悔しくなります。それでも患者さんの苦痛や不安にフォーカスし、それらをスタッフで共有し、回復を支援できる瞬間が、確かにあります。そのときは大きなやりがいを感じますし、とても貴重な経験をさせてもらっていると実感できます。
患者さん、家族、医療スタッフ。
その間で私にできることを。
思いを理解し、寄り添いたい。そう思うのは患者さんのご家族に対しても同じです。救急搬送される患者さんの中にはすでに意識がなく、どんな意思も示すことができない方もいらっしゃいます。そこで治療の判断を迫られるのはご家族です。大切な方を失うかもしれないという極限状態で答えを出すことは、とても苦しいことだと思います。そんなときにわからないこと、不安なこと、患者さんのこれまでのこと、一つひとつを整理し、患者さんに代わって治療方針を考えられるように支えることも看護師の大切な役割。患者さんはもちろん、ご家族の声なき声にも耳を済まし、ご希望がひとつでも多く叶えられるようにこれからも頑張っていきたいと思っています。